第二話
ここからは、主人公が登場する。
【伊丹 耀司 二等陸尉(33歳)はオタクであった。現在もオタクであり、将来もきっとオタクであり続けるだろうと自認している。
『オタク』と言っても、自分でSS小説を書いたり漫画を描いたり、あるいはフィギュアやSD(スーパー・ドルフィー)をつくったり愛でたりするという、クリエイティブなオタクではない。もちろん初音○クを歌わせたりもできない。
他人が「創ったり」「描いた」ものへの批評や評価を掲示板に投稿するという、アクティブなオタクでもない。
誰かの書いた漫画や小説をただひたすらに読みあさるという、パッシブな消費者としての『オタク』であった。
夏季と冬季のコミケには欠かさず参加するし、靖国神社なんかには一度も行ったことがないが中野、秋葉原へは休日の度に詣でている。
官舎の壁には中学時代に入手した高橋留美子のサイン色紙と、平野文のサイン色紙が飾られていて、本棚には同人誌がずらっと並んでいる有様だ。法令集や教範、軍事関係の書籍はひらくこともないからと本棚にはなくて、新品状態のままビニール紐でしばりあげて押入の中に放り込んである。
そんな性向の彼であるから、仕事に対する態度は熱意というものにいささか欠けていた。例えば、演習の予定が入っていても「その日は、イベントがありまして…」と臆面もなく休暇を申請してしまうというように。
彼はこう嘯く。
「僕はね、趣味に生きるために仕事してるんですよ。だから仕事と趣味とどっちを選ぶ?と尋ねられたら、趣味を優先しますよ」
そんな彼が、よーも自衛官などになったものだと思うのだが、なっちゃったのだから仕方ないのである。
そもそも彼のこれまでは、『息抜きの合間に人生やっている』と言われるに相応しい物であった。(出展元ネタ/『究極超人あ~る』より)】
これが主人公の大まかなプロフィールらしい。
彼が自衛隊へと入った経緯は、学校での成績が可もなく不可もなくという状態が続いており、就職にあたっていろいろ迷った末になんとなく自衛隊の門を叩き、現在に至る。といった感じであった。
【「くそっ!このままでは、夏○ミが中止になってしまう」】
銀座事件といわれる大惨事に対し、彼はこう思ったとある。オタクである彼は門の向こう側が異世界だと即座に見抜くことができ、対策を考えることができたという。【その後の彼の活躍は、朝○新聞ですら取り上げざるを得なかったほどである。】だとか。
政治家たちも混乱し、自衛隊も満足に動けない中、伊丹がまず行ったことは
【そんな中で伊丹は、付近の警察官を捕まえて西へ指さした。
「皇居へ避難誘導してくれ!」】
避難民たちを誘導する先の提案であった。皇居はかつては江戸城という物であり、戦から複数の人間を守るうえでは役に立つだろうという判断だ。
【伊丹は、指揮系統からはずれた警察官や避難した民間人の協力を仰いで、皇居へと立て籠もった。皇宮警察がやかましかったが、これも皇居にお住まいの『偉い方』の『お言葉』一つで鎮まった。】
そしてこれにより多くの人命を救ったと評価された彼は【それまでの数時間、数千からの人を救ったという功績が認められ、伊丹は防衛大臣から賞詞を賜り、二等陸尉へと昇進することとなった。】
その後もゲートからの襲撃は続いた。攻撃は3回目となったが、自衛隊の活躍により戦いは膠着状態になっていた。
ゲートの向こう側はどうなっているか? これを解明しない限りは事態の収束はないだろう。誰かが調べに行く必要があるのだが。
ここで「檜垣三等陸佐」という新キャラクター登場。彼は、伊丹に調査を命令する。もちろん1人ではなく、合計6人の舞台で行けという命令だ。可能であれば和平交渉もしてこいと言われてしまった。
【ポリポリと伊丹は後頭部を掻くのだった。】
ちなみに、小説の一番最初にあったキャラクター紹介などのコーナーにては、感想や連絡などを送信するためと思われるメールアドレスも見つかった。
mailto:takusan-todoku@hotmail.co.jp
これを掲載しても大丈夫かなとは思ったが、かつては何年もの間一般公開されていたんだし、今はたぶん使われてないだろうから、まあいいだろうと思ったので掲載してみた。
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