ネトウヨなど発掘所

インターネットで見かける政治関連の噂やコピペなどの出所などを調べてみるサイトです。

2020年01月

今回もリクエスト対応である。内容は以下のコメントからである。

「北海道の土地が中国人に買収されている、という言説の起源についてリクエストさせていただきます。自分は原野商法だと勝手に思ってたのですが」

この話題は自分も聞いたことがある。どこが発祥なのだろうか調べてみた。

 

   2009年頃に中国資本による日本の水源地買収がニュースなったことで、2ちゃんねるにて水源を狙った侵略行為であるという噂が出た。

   特に北海道の土地が買い取られることが多かった理由は、2008年に北海道を舞台にした中国映画がヒットし関心が高まったのも理由らしい。

 

中国の資本家によって日本の水源地が買収されているというニュースを最初に報道したのは、産経新聞であった。現在では削除されているこのページがそうである。3ページに分かれた構成になっているので、3つともURLを載せておこう。

中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始(2009/5/12)

https://web.archive.org/web/20090515011803/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n1.htm

https://web.archive.org/web/20090515011804/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n2.htm

https://web.archive.org/web/20090515011804/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n3.htm

記事においては、三重県大台市、長野県天龍村、岡山県真庭市において中国からの水源林を買い取りたいという話が持ちかけられていたことを


日本国内の水源地に中国資本が触手を伸ばしている実態が明らかになった。この背景には、中国での深刻な水不足がある。その一方で日本国内の水源地は現在、約30年前の価格まで暴落していることも中国にとって買い時と映ったとみられる。世界各地では、水資源の獲得に向けて激しい争奪戦が繰り広げられており、識者は「国内の水源地を守るためには現在の法制度は未整備」と訴えている。

東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、ペットボトルに換算すると、この10年間で約4倍になっている。また、急速に工業化が進む北部では工業用の水不足が慢性化。穀倉地帯や内陸部の小麦地帯でも、干魃(かんばつ)被害の影響で農業用の水不足が深刻化しているという。

国連の予測では、人口爆発と経済発展により、水不足の深刻な国で暮らす人は現在でも5億人に達し、2025年には約30億人に増加するとしている。水不足の危機は一方でビジネスチャンスを生み、「水メジャー」といわれる大企業が、世界で水源地を確保しようとする動きが目立っている。


この話題を受けて、2ちゃんねるでもスレッドが立ち上がった。

( ̄┏Д┓ ̄)】中国資本が西日本を中心に全国各地の水源地を大規模買収中

https://tsushima.5ch.net/test/read.cgi/news/1242140252/

【社会】中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始

https://tsushima.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1242144232/

【国内】中国資本による水源地の買収の動きが活発化、中国の深刻な水不足が背景に-林野庁、危機感強める

https://takeshima.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1242145826/

ただ、この時点ではまだ「北海道」についての話題は出ていなかった。

 

北海道の土地についての話題が見えてくるのは、翌年の20109月の終わりごろである。スレッドはいくつか見つかったのだが、ソースとなるニュースサイトの記事が魚拓すら見つからなかったり、元スレッドが消滅したのかログ速に痕跡が残っている物しかないというのが多いのは申し訳ない。

北海道で複数の森林が中国の資本に買われていた事実がわかった。全国に同様の例があるかどうかは不明

https://www.logsoku.com/r/2ch.net/news/1283703999/

【北海道】 「北海道を訪れた中国人富裕層が別荘や土地を購入」 中国側の「資本流入」進む

https://kamome.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1285321498/

リンク切れで魚拓もないが一応ソースとされているURLは貼っておこう。魚拓が見つかったのもあるのでそれは強調しておこう。

【昇竜VS.道流】不動産マネー 勢い-マイタウン北海道

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001009240010

途上国の「土地争奪」防ぐルール案 APEC向け調整(朝日新聞 201095)

https://web.archive.org/web/20100907164317/http://www.asahi.com/international/update/0905/TKY201009050275.html

どうやら、北海道の土地売買において、ニュージーランドやオーストラリアなどの投資家が目を付けていた土地が中国の富裕層によって買い取られるということが多く、特に森林が買われる傾向が多いという、中国資本の日本への進出が進んでいるという記事であったらしい。

ちなみにこの当時中国の資本家が北海道に目を付けていたのは、中国で2008年に「狙った恋の落とし方。」という北海道を舞台にした映画が大ヒットしたことで、中国から北海道へ多数の観光客が訪れるなどの関心が高まっていたからではないかとする報道も見られた

 

そうした中で、海外資本が土地を買いすぎているということで規制が入るということもあったとか。以下のニュースも産経新聞からである。

水源地を外資などから買収、公有地化へ 北海道ニセコ町、自治体として全国初

https://web.archive.org/web/20101110142956/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n1.htm

https://web.archive.org/web/20101110034210/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n2.htm

https://web.archive.org/web/20101108151316/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n3.htm

Wikipediaにおいても映画のページにて、作品のヒットにより中国からの土地購入が増えたのがこの条例ができた理由の1つであると語られていたりする。

 

こうして、中国による日本の水源地買い取りは最初は北海道に限ったことではなかったが、その後映画の影響で北海道に注目する中国資本家が増えたことにより特に北海道の土地が外資の関連で話題となった結果、「北海道の水源が中国に狙われている」という話が大きくなっていった…のかもしれない。

今回もリクエスト案件。頂いたのはこのコメントである。

「ところで、リクエストとして最近(?)よく見かけるDD論の起源について調べてもらうことは出来ますでしょうか」

DD論とは「どっちもどっち論」の略である。自分が批判された際、相手や他人の行動をあげつらって自身を正当化しようとする論という意味で使われているみたいだ。

かなりありふれた言葉である故、起源を探すのはとても難しいと思われるが、リクエストを貰ったからには可能な限り調べてみたかった。

 

「どっちもどっち論」という言葉を政治的な言論で初めて使用したのは、日本共産党である。

 

最初に言っておくと最初に「DD論」と略して使用しだしたのはどこなのかを調べることはできなかった。申し訳ない。

その代わり、「どっちもどっち論」という言葉を調べると、この言葉が出てくる最も古いサイトを見つけることができた。

 

しんぶん赤旗 日本共産党       

http://www.jcp.or.jp/akahata/

戦後50年国会決議とは どっちもどっち論で侵略免罪

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-04/2005080402_05_1.html

日本共産党の発行する機関誌「しんぶん赤旗」にその記述はあった。記事の投稿日は200584日とある。紙面の内容をwebに書きおこした物らしい。

記事内容は「戦後六十年決議」に関する物であった。

これは、19956月に国会で決議された「戦後五十年決議」(Wikipediaにおいては「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」という名前でページがある)という、日本の過去の戦争に対してどのように向き合うかの方針の決議について戦後50年を期に国会決議した物を、10年後の戦後60年に更新したものであるらしい。


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ウヨオタク

「ネット右翼はほぼみんなアニメオタクである」というような主張は、ネットの政治界隈にいるとほぼ確実に耳にする言葉である。「ハンJ速報」や「脱愛国カルトのススメ」といったところのコメント欄でもそこそこ見かける。「てきとう」ではもっと見かける。

僕は反ネトウヨだがアニメやゲームは好きであるのだが。かつてはハンJ速報にてこのような記事を寄稿したこともあるので、興味があったら見てほしい。

 

僕の好きなアニメはどちらかというとキッズ向けの、細かいことはあまり気にせず楽しむ系のアニメであるので、やたらと高尚っぽい作風や悲観的な内容の物ばかりもてはやされる昨今のネット環境では孤立っぽい立場になってはいるけど。

 

しかし、政治思想とオタクであるかどうかが結びついて語られるようになったのは、何か切欠があるのだろうか?

ネット右翼という言葉は2000年前後から登場したらしいが、生まれた当初はアニメやオタクといったイメージはそこまでなかったようである、それがいつの間にか同一視されるようになったのかが今回の主題である。

あくまで個人的な調査の範囲なので、これは違う、起源は他にあるという意見があればコメント欄などに書き込んでいただければ受け付けるつもりです。自分が調べたところ、1つのきっかけがあったのではなく、複数の要因が絡み合っていたように見えた。

 

   最初にネット右翼とアニメなどのオタクの親和性を語ったのは20058月に「ネット右翼問題を考える国民会議」というサイトで、さらにそれを「ちゆ12歳」というサイトが反論目的で拡散をした。

   200510月に「中国が攻めてくる」と言って家族への傷害事件を起こしたひきこもりが逮捕される事件が発生したこともこの論調を加速させた?

   20083月に「ネット右翼はガンダムから政治を学んだ」と語るネットニュースが投稿されこちらもかなりの話題になった。

 

まず、調べた範囲内で、ネット界隈で最も古くに「ネトウヨ=アニメオタク」という考えを出していたのはこのサイトであった。

本宮ひろ志先生を支援する勝手連(通常時・ネット右翼問題を考える国民会議)

https://ameblo.jp/sinrigakukenkyu/

プロ奴隷が軍オタで美少女アニメ「萌え」な訳

https://ameblo.jp/sinrigakukenkyu/entry-10000609222.html

ネット右翼に関する考察をしているサイトとしてはかなり古いサイトであり(2006年ごろに更新停止しているみたいだが)、「プロ奴隷」という言葉はこのサイトが独自に使っているネット右翼を意味する物である。ここではこう語られていた。

「以前よりプロ奴隷の分析を行ってきましたが、大体のところプロ奴隷というのはミリタリーマニアでしかも美少女アニメやコスプレに興味のアル変態野郎どもであることが明かになってまいりました。」

その発言の根拠としてはこれが挙げられていた。元記事は消えていたので魚拓。

萌えるアキバが日本を変える 第15回「ミリタリー萌え(4)」(経済アナリスト 森永 卓郎氏)

https://web.archive.org/web/20050414101820/http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/colCh.cfm?i=t_morinaga80

森永卓郎という人が、2004129日に「経営サポート ビズプラス」というサイトに投稿した物である。秋葉原やオタクの動きから若者文化について調べるシリーズの一環としての物であるが、その中で「カウボーイビバップ」「APPLESEED」「サムライガン」「ジパング」などのアニメが当時人気があったことから、ミリタリー萌えが流行しているのではということを語っているのであった。

この記事を元に上記のブログにおいては、ミリタリーと萌えが融合しつつあるということから、力を求める弱そうなオタクが、ミリタリーに触れてネトウヨ思想に被れるのではという考察をしていた。

このブログの記述を「ちゆ12歳」というサイトが取り上げたこともあってか、話題はそこそこであったと思われる。

【ちゆ12歳】◇「MMR緊急報告 人類はネット右翼になる!?」の注釈です◇

http://tiyu.to/mmr07.html


ただ、どうもこの記事だけがネトウヨ=アニメオタクという論を定着させたわけではなさそうだ。Googleトレンドという、Googleでの単語検索結果を調べるサイトで見てみると、このようなものが見られた。

トレンド

Googleトレンドで遡って検索できるのは20041226日以降であるが、とりあえず2009年までの範囲で調べてみると、2か所ほど検索結果が跳ね上がった個所が見つかった。

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今回はかなり下ネタによった記事になるので閲覧の際は注意していただきたい。

 金的

 

 

記事タイトルにも示した「9センチ」というのは、「韓国人は勃起した男性器のサイズが9センチしかない」という物である。

ネトウヨがたまに「9センチ」という単語を使ってくるのを見たことはないだろうか。ハンJに関わるまでは知らなかった言葉だが、この界隈に足を踏み入れてからはたまに聞くようになった言葉である。いったい何を根拠にそれを言っているのか? それが今回の発掘結果である。

 

韓国人のアレの長さが9センチという説は、2005年にスペインで行われた世界の男性のサイズ調査が発端だが、研究した本人からも調査は不完全であると明記されている。

 

今回も例によってウェブアーカイブスからである。

altPENIS

https://web.archive.org/web/20050418010818/http://www.altpenis.com/penis_news/global_penis_size_survey.shtml

これは外国のサイトであるが、男性器についての情報をまとめているらしいところである。詳しいことは分からないが。

ここで2005411日に投稿されたページである。現代では元のリンクも無効になっているので、とりあえず全文を掲載してみよう。


Penis Size Around The World

In 2001, Dr Eduardo Gomez de Diego of the SizeGenetics medical company came across some research on average penis size published by the Spanish Society of Andrology. The results surprised Diego as they didn't agree with the results he had obtained from his own clinic's survey examining the size of the average Spanish male. This spurred Diego to enhance his own survey and to expand it by gathering results from other countries. The statistics took over a year to gather from journals and studies published around the world and the results have now been made available.

Diego admits that the results are not exhaustive. "We couldn't find references for many countries and in some cases we couldn't even find the appropriate people to talk to about it," he said. "Specialist journals and other sources like urologist associations tended to be the sources for the results we did gather."

The survey covers 15 countries with the results pulled from sources such as the Journal of Sexology in Japan, the Jacobus Survey in India and the Clinic for Men in Chile.

The survey turns up some surprises for anyone who thought that all men were created equal.

 

サイズ

Drop us a line if you'd like to comment on the survey or feel that your country has been misrepresented. Better still, send us results (eg. survey results or a journal reference) for your country if it's not represented above and we'll add it in.

Don't forget, you can always see how over half-a-million men compare in the altPENIS size survey.

Visit the SizeGenetics website.


英語は得意ではないので、エキサイト翻訳やGoogle翻訳などを駆使して訳してみるとこうなるのである。


世界の男性器サイズ

サイズ遺伝子学の医学会社に所属のエドワード・ゴメス・デ・ディンゴ博士は、スペイン社会の男性学会から公開された平均的な男性器のサイズについてのいくつかの調査に立ち会った。スペイン人男性の平均的なサイズを調査する中で、ディンゴ博士はその調査結果と自身の会社での調査結果が一致してないことに驚いた。ディンゴ博士は調査の強化をするために他国での結果も集めるようにした。ジャーナルや公開されるようになった学説から統計を集めることを1年以上続けた。

ディンゴ博士はその調査が徹底的ではないと認めている。「私たちは多くの国から参照することはできず、場合によっては、調査について話す上で適切な人を見つけることさえできなかった」「専門家のジャーナルや泌尿器科医協会などからの情報ソースは、私たちが集めた調査結果を情報源にしている傾向がある」と彼は語る。

この調査は、日本の性科学ジャーナル、インドのヤコブス調査、チリの男性向けクリニックからの情報を元に、15か国を対象とした。

調査結果は、すべての男性のアレが同じ大きさであると思っていた人を驚かせる発見があった。

 

この調査結果が誤りである、自分たちの国が誤解されていると思ったのであれば、私たちに手紙をください。いっそのこと、あなたの国での調査結果(調査結果またはジャーナル参照)で代表にされてないものが送られたなら、私はそれを加えます。

忘れてはいけないのは、あなたはaltPENISのサイトにて50万人以上とサイズ比較ができるということだ。

SizeGeneticsウェブサイトを訪問してみよう。


自前で翻訳したので翻訳の精度には不安があるのと、後半にサイトのリンクがいくつかはあったもののリンク切れになっているが、大体こんな感じである。元々は差別などの意図はなく単なる調査という形式であり、調査も十分ではないことが記事内で書かれている。

 

その後、このニュースを取り上げたあるサイトがあった。

超絶

https://web.archive.org/web/20050709005729/http://choxets.blog8.fc2.com/

おち○ちん国際比較サイズ-膨張率に強い日本人-

https://web.archive.org/web/20050706064155/http://choxets.blog8.fc2.com/blog-entry-219.html

このサイトは「海外バカニュースを紹介」を語っており、世界中のバカなネタをまとめるという趣旨でサイトを経営していたようだ。差別目的ではなく単に面白そうな話題としてこれを取り上げていたようである。実際、紹介の際も日本人のサイズ調査結果についてのコメントをしているのであった。これにより海外発祥のニュースが日本人でも一部が翻訳される形で閲覧されることになったのだ。

ネトウヨたちは、韓国人の場合3.7インチ→約9.4センチメートルという紹介の方に着目し、「9センチ」という蔑称を使うようになったのだ。

 

もう少し検索してみると、現在は不定期になった保守系の雑誌「SAPIO」がこのような記述をしているのも見つけた。

韓国人男性器「世界最小」事実でないが性器に尋常でない執着

https://news.livedoor.com/article/detail/7173278/

タイトルからして既に酷い。ここでは2012年にスペインのアンドロメディカル社という医療機器メーカーが公表したサイズ測定結果を引用している。

内容は、ソウル在住のジャーナリストの平井敏晴という者が、韓国では男性器の整形手術が多いことからアレへの執着が強いなんてことを言っている。高須クリニックが儲かっているような日本は他国のことをとやかく言える立場ではないと思うのだが。

しかし、記述の中には、韓国での測定結果が小さい数字となった理由として、長さを測る際、日本などは勃ったときの長さを測るが、韓国では引っ張って伸ばした長さを測っているという話もしている。

 

調査結果については調査した本人たちも完全ではないと語っているし、世界各国でのサイズ測定(意味深)についても詳しいデータや測定結果はよくわからない。しかしネトウヨたちは、行った本人たちですら十分ではないと言っている調査結果を根拠にして「9センチ」と今も言っているのであった。

 

ちなみにブログ主は、エッチなのは二次元に限ってしまう系である。それも少年漫画向けの、本番とかは無しの方面、大事なところがギリギリ隠れているって感じのあくまで全年齢向けギリギリを攻めている描写が好きである…って何言ってんだか。

パチンコ
今回は今まで書いた中でもかなり長い記事になってしまったが、最後までお付き合い願いたい。

自民党のIR汚職が少し話題になった。ネトウヨたちは普段「野党は中国の手先だ」と言っておきながら実際は自民党が中国から賄賂を貰っていた。さらには、UR汚職をしていた甘利が自分のことを棚に上げていた。

今回の件で調べようと思ったのは「日本のパチンコ店は、北朝鮮に金を送っている。パチンコの収益は北朝鮮のミサイル開発資金になっているのだ」という話についてである。

冷静に考えたらパチンコ店の稼ぎごときでそんな軍事費を賄えるようなものではないと思えるのだが、この噂はどこからやってきたのか、調べてみた。

 

  北朝鮮とパチンコ屋が癒着していると最初に言い出したのは、「週刊アカシックレコード」という、様々な陰謀論を展開しているサイトである。

  2002年に、北朝鮮からの不審船から発見された携帯電話にパチンコ屋との通話履歴が発見されたのをきっかけに、噂が大量に拡散された。

 

まずは話の前に、在日韓国人とパチンコの関係について大学教授が作った論文を見つけたので紹介をしておこう。2001年作成された論文である。

<研究ノート>在日韓国・朝鮮人の「若い世代」の台頭と民族教育の新しい展開

https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/192603/1/kjs_009_237.pdf

「宋 基燦」氏という、現在は立命館大学で映像人類学の准教授を務めている方が、京都大学にいた頃に作成した論文であるらしい。内容は、戦後の在日韓国・朝鮮人や、その23世について研究したものである。いわゆるネトウヨ的な観点は無く、差別問題も含めて詳しく検証がされているので、一見の価値はあると思う。

その中で「パチンコ」については、在日の人たちは戦後も根強い差別の中で生きることになったため、生活するうえでは多くの日本人が忌避するような仕事をせざるを得なかった。その職種の1つとしてパチンコがあったため、パチンコ業界に在日が多くなっているという感じで書かれている。

当然この論文には、北朝鮮への送金などと言ったことは書かれていない。


 

話を戻そう。

噂の発端となったのはこちらのニュースである。読売新聞の九州発という所のサイトであるが、現在はドメイン切れとなっている。

九州発 読売新聞西部本社

https://web.archive.org/web/20030210075919/http://kyushu.yomiuri.co.jp/index.htm

携帯電話の通話相手は栃木のパチンコ店の関係先 (02.11.20)

https://web.archive.org/web/20021221235111/http://kyushu.yomiuri.co.jp/special/fushinsen/f-news/f-news021120.htm

2001年末に、北朝鮮からの不審船が話題になった。この件は「九州南西海域工作船事件」という名前でwikipediaにも記載のある事件である。

不審船が自爆という結果に終わったそうだが、その約1年後にある調査結果が報道された。


昨年12月に鹿児島県奄美大島沖で起きた北朝鮮の工作船事件で、船内から回収された携帯電話の通話先の1つが、栃木県内にあるパチンコ店の関係先だったことが19日、わかった。第10管区海上保安本部(鹿児島)と鹿児島県警の合同捜査本部では、実際に電話をかけた人物や通話内容を確認するため、同店関係者から任意で事情を聞く方針だ。

問題の携帯電話は、「東芝」製のプリペイド式で、岐阜県内の中国人女性がインターネットで販売した約3000個のうちの1つ。長く海水につかっていたため、電話内部のメモリーには発信記録や着信記録は残っていなかったが、電話会社の記録から、複数の通話相手の電話番号が確認できた。

これらの番号を照会した結果、うち1件が、栃木県内のパチンコ店の関係先と判明した。残る通話先は、契約者が転居して所在不明になるなど、通話相手の解明は進んでいないという。

合同捜査本部では、この携帯電話が、工作船に持ち込まれたルートについても調べる一方、通話相手を特定することで、工作船の目的解明につなげたい考えだ。


この報道については、自分が調べた限りではこの読売新聞九州ローカル版のウェブアーカイブス以外には見つからず、これのまた続報についても確認はできなかった。

 

ただし、2ちゃんねるは違った。このマイナーなニュースも目ざとく見つけたのか、これを元に投稿がされた。

まずは、工作船にあった携帯電話の通話履歴がまだ未解明であった時期。ニュース速報+板にて作られたスレッド。ニュースソースがヤフーニュースであったので、元記事を見つけることはできなかった。

【社会】北朝鮮の工作船から回収の携帯電話、関東に発信。5件の通話履歴

https://news2.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1036478982/


1 :☆ばぐ太☆φ ★:02/11/05 15:49 ID:???

★<工作船>回収の携帯電話、関東に発信 5件の通話履歴

・鹿児島県・奄美大島沖での北朝鮮の工作船事件で、回収された携帯電話の通話履歴に、関東地方へ発信した記録が5件残っていることが分かった。

第10管区海上保安本部と鹿児島県警の合同捜査本部は、通話先が工作船の活動の国内協力者や連絡拠点と密接な関連があるとみて、さらに詳しく調べる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20021105-00003071-mai-soci


 

それからしばらく経ってから、読売新聞の九州発にて、携帯電話の解析結果の一部が報道されることになった。

【北朝鮮工作船】回収の携帯電話の通話相手に、栃木のパチンコ店

https://news2.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1037746952/


1 :レコバφ ★:02/11/20 08:02 ID:???

昨年12月に鹿児島県・奄美大島沖で起きた北朝鮮の工作船事件で、船内から回収された携帯電話の通話先の一つが、栃木県内のパチンコ店の関係先だったことが19日わかった

第10管区海上保安本部と鹿児島県警の合同捜査本部は、電話をかけた人物や通話内容を確認するため、同店関係者から任意で事情を聞く方針だ。

問題の携帯電話は東芝製のプリペイド式で、岐阜県内の中国人女性がインターネットで販売した3千個のうちの一つ。(以下略)

※以上記事引用しました。全文はリンク先参照して下さい(画像大きいです)

http://www.hellplant.org/cgi-bin/uploader/zenecro68xx/wc5205.jpg

関連スレ

【社会】北朝鮮の工作船から回収の携帯電話、関東に発信。5件の通話履歴

http://news2.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1036478982/

依頼で立てました。わざわざうぷしてくれた依頼者さんに感謝です。

http://news2.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1037725763/45


 

このことは2ちゃんねるにて大規模に拡散されることになり、政治板にてこれらの件をまとめたスレッドが作られたのだ。

★北朝鮮とパチンコ業界と社民党のドス黒い関係★

https://money.5ch.net/test/read.cgi/seiji/1038016789/


1 :名無しさん@1周年:02/11/23 10:59

不審船から発見された携帯電話の着信先が栃木のパチンコ屋であることが判明いたしました。

旧社会党時代から十数年揉み消され続けてきた、日本最悪の政治と業界の癒着。これに早急に捜査のメスを入れるべきです。

http://news2.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1037771913/82

http://news2.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1037771913/113

北朝鮮財政を支えていたのは、実は日本のパチンコ産業からの献金であった(1980年代、アメリカの保守系雑誌『タイム』は、土井たか子委員長を含む当時の日本社会党幹部数名を"PachinkoSocialist"『パチンコ・ソーシャリスト』と名指しして非難した。日本のパチンコ産業の献金が北朝鮮経由で社会党に流れこんでいる、というのである。じっさい、土井たか子は当時のパチンコの業界団体から「パチンコ文化人」の称号を奉られていた)。

http://plaza12.mbn.or.jp/~SatoshiSasaki/y2k/utah2.html

http://www.bnn-s.com/bbs/tree.cgi?action=clip&no=1869


 

始まりは不審船の携帯電話にパチンコ屋との通話履歴があったという物が、いつの間にやら社民党や日本共産党とも繋がりがあるという話に飛躍しているのに気が付いただろうか。この話はどのようにして生まれたかも書いておこう。

紹介したスレッドの最後の方で書かれているURLは、今はどちらも繋がっては無い。ただ、例によって痕跡はあるので、その中から最も古いものを紹介してみたい。

 

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