今回もリクエスト対応である。内容は以下のコメントからである。

「北海道の土地が中国人に買収されている、という言説の起源についてリクエストさせていただきます。自分は原野商法だと勝手に思ってたのですが」

この話題は自分も聞いたことがある。どこが発祥なのだろうか調べてみた。

 

   2009年頃に中国資本による日本の水源地買収がニュースなったことで、2ちゃんねるにて水源を狙った侵略行為であるという噂が出た。

   特に北海道の土地が買い取られることが多かった理由は、2008年に北海道を舞台にした中国映画がヒットし関心が高まったのも理由らしい。

 

中国の資本家によって日本の水源地が買収されているというニュースを最初に報道したのは、産経新聞であった。現在では削除されているこのページがそうである。3ページに分かれた構成になっているので、3つともURLを載せておこう。

中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始(2009/5/12)

https://web.archive.org/web/20090515011803/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n1.htm

https://web.archive.org/web/20090515011804/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n2.htm

https://web.archive.org/web/20090515011804/http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090512/biz0905122342041-n3.htm

記事においては、三重県大台市、長野県天龍村、岡山県真庭市において中国からの水源林を買い取りたいという話が持ちかけられていたことを


日本国内の水源地に中国資本が触手を伸ばしている実態が明らかになった。この背景には、中国での深刻な水不足がある。その一方で日本国内の水源地は現在、約30年前の価格まで暴落していることも中国にとって買い時と映ったとみられる。世界各地では、水資源の獲得に向けて激しい争奪戦が繰り広げられており、識者は「国内の水源地を守るためには現在の法制度は未整備」と訴えている。

東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、ペットボトルに換算すると、この10年間で約4倍になっている。また、急速に工業化が進む北部では工業用の水不足が慢性化。穀倉地帯や内陸部の小麦地帯でも、干魃(かんばつ)被害の影響で農業用の水不足が深刻化しているという。

国連の予測では、人口爆発と経済発展により、水不足の深刻な国で暮らす人は現在でも5億人に達し、2025年には約30億人に増加するとしている。水不足の危機は一方でビジネスチャンスを生み、「水メジャー」といわれる大企業が、世界で水源地を確保しようとする動きが目立っている。


この話題を受けて、2ちゃんねるでもスレッドが立ち上がった。

( ̄┏Д┓ ̄)】中国資本が西日本を中心に全国各地の水源地を大規模買収中

https://tsushima.5ch.net/test/read.cgi/news/1242140252/

【社会】中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始

https://tsushima.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1242144232/

【国内】中国資本による水源地の買収の動きが活発化、中国の深刻な水不足が背景に-林野庁、危機感強める

https://takeshima.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1242145826/

ただ、この時点ではまだ「北海道」についての話題は出ていなかった。

 

北海道の土地についての話題が見えてくるのは、翌年の20109月の終わりごろである。スレッドはいくつか見つかったのだが、ソースとなるニュースサイトの記事が魚拓すら見つからなかったり、元スレッドが消滅したのかログ速に痕跡が残っている物しかないというのが多いのは申し訳ない。

北海道で複数の森林が中国の資本に買われていた事実がわかった。全国に同様の例があるかどうかは不明

https://www.logsoku.com/r/2ch.net/news/1283703999/

【北海道】 「北海道を訪れた中国人富裕層が別荘や土地を購入」 中国側の「資本流入」進む

https://kamome.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1285321498/

リンク切れで魚拓もないが一応ソースとされているURLは貼っておこう。魚拓が見つかったのもあるのでそれは強調しておこう。

【昇竜VS.道流】不動産マネー 勢い-マイタウン北海道

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001009240010

途上国の「土地争奪」防ぐルール案 APEC向け調整(朝日新聞 201095)

https://web.archive.org/web/20100907164317/http://www.asahi.com/international/update/0905/TKY201009050275.html

どうやら、北海道の土地売買において、ニュージーランドやオーストラリアなどの投資家が目を付けていた土地が中国の富裕層によって買い取られるということが多く、特に森林が買われる傾向が多いという、中国資本の日本への進出が進んでいるという記事であったらしい。

ちなみにこの当時中国の資本家が北海道に目を付けていたのは、中国で2008年に「狙った恋の落とし方。」という北海道を舞台にした映画が大ヒットしたことで、中国から北海道へ多数の観光客が訪れるなどの関心が高まっていたからではないかとする報道も見られた

 

そうした中で、海外資本が土地を買いすぎているということで規制が入るということもあったとか。以下のニュースも産経新聞からである。

水源地を外資などから買収、公有地化へ 北海道ニセコ町、自治体として全国初

https://web.archive.org/web/20101110142956/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n1.htm

https://web.archive.org/web/20101110034210/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n2.htm

https://web.archive.org/web/20101108151316/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101105/crm1011050146004-n3.htm

Wikipediaにおいても映画のページにて、作品のヒットにより中国からの土地購入が増えたのがこの条例ができた理由の1つであると語られていたりする。

 

こうして、中国による日本の水源地買い取りは最初は北海道に限ったことではなかったが、その後映画の影響で北海道に注目する中国資本家が増えたことにより特に北海道の土地が外資の関連で話題となった結果、「北海道の水源が中国に狙われている」という話が大きくなっていった…のかもしれない。

今回もリクエスト案件。頂いたのはこのコメントである。

「ところで、リクエストとして最近(?)よく見かけるDD論の起源について調べてもらうことは出来ますでしょうか」

DD論とは「どっちもどっち論」の略である。自分が批判された際、相手や他人の行動をあげつらって自身を正当化しようとする論という意味で使われているみたいだ。

かなりありふれた言葉である故、起源を探すのはとても難しいと思われるが、リクエストを貰ったからには可能な限り調べてみたかった。

 

「どっちもどっち論」という言葉を政治的な言論で初めて使用したのは、日本共産党である。

 

最初に言っておくと最初に「DD論」と略して使用しだしたのはどこなのかを調べることはできなかった。申し訳ない。

その代わり、「どっちもどっち論」という言葉を調べると、この言葉が出てくる最も古いサイトを見つけることができた。

 

しんぶん赤旗 日本共産党       

http://www.jcp.or.jp/akahata/

戦後50年国会決議とは どっちもどっち論で侵略免罪

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-04/2005080402_05_1.html

日本共産党の発行する機関誌「しんぶん赤旗」にその記述はあった。記事の投稿日は200584日とある。紙面の内容をwebに書きおこした物らしい。

記事内容は「戦後六十年決議」に関する物であった。

これは、19956月に国会で決議された「戦後五十年決議」(Wikipediaにおいては「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」という名前でページがある)という、日本の過去の戦争に対してどのように向き合うかの方針の決議について戦後50年を期に国会決議した物を、10年後の戦後60年に更新したものであるらしい。


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ウヨオタク

「ネット右翼はほぼみんなアニメオタクである」というような主張は、ネットの政治界隈にいるとほぼ確実に耳にする言葉である。「ハンJ速報」や「脱愛国カルトのススメ」といったところのコメント欄でもそこそこ見かける。「てきとう」ではもっと見かける。

僕は反ネトウヨだがアニメやゲームは好きであるのだが。かつてはハンJ速報にてこのような記事を寄稿したこともあるので、興味があったら見てほしい。

 

僕の好きなアニメはどちらかというとキッズ向けの、細かいことはあまり気にせず楽しむ系のアニメであるので、やたらと高尚っぽい作風や悲観的な内容の物ばかりもてはやされる昨今のネット環境では孤立っぽい立場になってはいるけど。

 

しかし、政治思想とオタクであるかどうかが結びついて語られるようになったのは、何か切欠があるのだろうか?

ネット右翼という言葉は2000年前後から登場したらしいが、生まれた当初はアニメやオタクといったイメージはそこまでなかったようである、それがいつの間にか同一視されるようになったのかが今回の主題である。

あくまで個人的な調査の範囲なので、これは違う、起源は他にあるという意見があればコメント欄などに書き込んでいただければ受け付けるつもりです。自分が調べたところ、1つのきっかけがあったのではなく、複数の要因が絡み合っていたように見えた。

 

   最初にネット右翼とアニメなどのオタクの親和性を語ったのは20058月に「ネット右翼問題を考える国民会議」というサイトで、さらにそれを「ちゆ12歳」というサイトが反論目的で拡散をした。

   200510月に「中国が攻めてくる」と言って家族への傷害事件を起こしたひきこもりが逮捕される事件が発生したこともこの論調を加速させた?

   20083月に「ネット右翼はガンダムから政治を学んだ」と語るネットニュースが投稿されこちらもかなりの話題になった。

 

まず、調べた範囲内で、ネット界隈で最も古くに「ネトウヨ=アニメオタク」という考えを出していたのはこのサイトであった。

本宮ひろ志先生を支援する勝手連(通常時・ネット右翼問題を考える国民会議)

https://ameblo.jp/sinrigakukenkyu/

プロ奴隷が軍オタで美少女アニメ「萌え」な訳

https://ameblo.jp/sinrigakukenkyu/entry-10000609222.html

ネット右翼に関する考察をしているサイトとしてはかなり古いサイトであり(2006年ごろに更新停止しているみたいだが)、「プロ奴隷」という言葉はこのサイトが独自に使っているネット右翼を意味する物である。ここではこう語られていた。

「以前よりプロ奴隷の分析を行ってきましたが、大体のところプロ奴隷というのはミリタリーマニアでしかも美少女アニメやコスプレに興味のアル変態野郎どもであることが明かになってまいりました。」

その発言の根拠としてはこれが挙げられていた。元記事は消えていたので魚拓。

萌えるアキバが日本を変える 第15回「ミリタリー萌え(4)」(経済アナリスト 森永 卓郎氏)

https://web.archive.org/web/20050414101820/http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/colCh.cfm?i=t_morinaga80

森永卓郎という人が、2004129日に「経営サポート ビズプラス」というサイトに投稿した物である。秋葉原やオタクの動きから若者文化について調べるシリーズの一環としての物であるが、その中で「カウボーイビバップ」「APPLESEED」「サムライガン」「ジパング」などのアニメが当時人気があったことから、ミリタリー萌えが流行しているのではということを語っているのであった。

この記事を元に上記のブログにおいては、ミリタリーと萌えが融合しつつあるということから、力を求める弱そうなオタクが、ミリタリーに触れてネトウヨ思想に被れるのではという考察をしていた。

このブログの記述を「ちゆ12歳」というサイトが取り上げたこともあってか、話題はそこそこであったと思われる。

【ちゆ12歳】◇「MMR緊急報告 人類はネット右翼になる!?」の注釈です◇

http://tiyu.to/mmr07.html


ただ、どうもこの記事だけがネトウヨ=アニメオタクという論を定着させたわけではなさそうだ。Googleトレンドという、Googleでの単語検索結果を調べるサイトで見てみると、このようなものが見られた。

トレンド

Googleトレンドで遡って検索できるのは20041226日以降であるが、とりあえず2009年までの範囲で調べてみると、2か所ほど検索結果が跳ね上がった個所が見つかった。

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