「上級国民」という言葉を知っている人は割と多いかもしれない。
池袋暴走事故の件で再燃したとして最近は有名かもしれない。これについては、脱「愛国カルト」のススメにていろいろと詳しく紹介されているので、そちらを見ていただきたい。
http://datsuaikokukarutonosusume.blog.jp/archives/1074527189.html
http://datsuaikokukarutonosusume.blog.jp/archives/1074543522.html
http://datsuaikokukarutonosusume.blog.jp/archives/1074615937.html
http://datsuaikokukarutonosusume.blog.jp/archives/1076169248.html
権力を持った人間に対して使われる言葉だが、この言葉が誕生した背景について調べてみた。
もともとこの言葉が誕生したのは、2015年に東京オリンピックのエンブレムに関して盗作疑惑が出てきた際である。
Wikipediaには以前は記事があったが、議論の末に記事削除をされている…のだが例によって魚拓はあった。削除前の遡れる最古の状態はこれである。
2015年9月1日に行われたとある会見が発祥であるとされている。もう少し調べてみた。
問題となっている東京五輪エンブレムに関する記者会見の動画はこれである。1時間以上ある動画なので視聴の際は注意していただきたい。提供元は、yahooの子会社が運営するニュースサイトのTHE PAGEと言うところだった。
https://www.youtube.com/watch?v=Xd2bmMrk9ss
問題の「一般国民」についての発言が出てきたのは、10:00頃である。この前後の発言を要約するとこんな感じであった。発言したのは、武藤敏郎事務総長である。
「佐野氏のデザインしたエンブレムについては、デザイン委員会においては佐野氏のオリジナルであり盗作ではないと判断されているが、一般の国民の皆様がこの説明で納得できるかかどうかという問題がある。」
要するに、権力者が云々ではなく「デザインやアートといった分野の専門家ではない立場の人」という意味で「一般の国民」という言葉を出したのであった。
しかしこの発言が波紋を呼び「俺たちが一般国民ならお前たちは何なのだ、上級国民とでも言いたいのか」という意見が出た。上級国民というワードはだれが起源なのかは調べられなかった。というのも、ほぼ同じ時期に多くの人が発言していたので、誰が起源というのでなく多くの人が同じワードを思い浮かべたからであろう。
そして時が流れエンブレム問題は忘れられていった…のだが、渋谷での事故において、加害者に対する措置などについて、権力者に忖度しているのではないかと言われる事態が起き、「上級国民」という言葉も再び使われるようになった。
今となっては「上級国民・一般国民」という言葉は「デザインに関する専門家とそうではない人」という最初の意味から離れ、「犯罪を行っても庇護を受ける権力者とそうではない庶民」という意味で使われるようになっている。